講演「ソフトウェア開発手法がビジネスを変革する時代-アジャイルとスクラム-」を聴いてきました

平鍋さん、野中教授が登壇する放送大学主催の講演に行ってきました。
イベントレポートって感じでもないけど、自分の頭の整理と気づきを残しておくために書きます。

ソフトウェア開発手法がビジネスを変革する時代 -アジャイルとスクラム-https://www.ouj.ac.jp/hp/o_itiran/tokubetu/20200203.html

DX(デジタル変革)の潮流とアジャイル開発

平鍋さん(@hiranabe)の講演。
いつもより堅めの場ってことで、平鍋さん的にもあまりない場みたいでした。(そんなようなことを言っていた。)
確かに、アジャイルとかスクラムってフランクな場が多い。
基本的に、楽しんでやろう!っていうのが強いからかな。

そんなこと思っていたら、冒頭で
「開発の現場で幸福度という言葉が出てきはじめた。アジャイルの肝は、ユーザの幸福度を考えるということ。」
という話から始まって、めっちゃ頷く。
「ビジネスっていう観点で受注側と発注側となってしまうと、どうしても本当に幸福を実現すべき対象がぼやけますよね」、と。
実はアジャイルを知らない方も多く聴きに来てるようだったので、ざっくりとスプリントの開発的な説明なのかな?と思っていたら、やはりそんな訳はなくて根幹が最初に出てきました。

ウォーターフォールではタイムリーに価値提供しにくい、という話があって、その後具体的なプラクティスなどの話へ。

スクラムの説明は、スクラム=サラダボウルという例えで説明。
スクラムはあくまでもフレームワーク=サラダボウルで、自分たちでドレッシングや野菜を選んでいく。
スクラムガイドとか読んでも具体的な話が出てこなくて混乱しがちなのは何度も見てきたので、この例えはぜひ使わせていただきたい!

かんばんの説明では、野球のスコアボードを例にした話。
野球のスコアボードをイメージして、それをまず作ってみてください、ということを新しい現場でやってもらうらしい。
選手とかポジションとかスコアとか、確かにそこには網羅的に情報が載っていて、みんなこのスコアボードを見て動いていく。
かんばんの役割が的確にイメージできて素晴らしい…。

アジャイルにおける標準化の話も出ていました。
アジャイル標準作ってください!という依頼が結構来るらしい。
チームが試行錯誤のなかで生み出した独自の工夫が、全社標準から出るはずがない!ということを実際の現場の工夫を出して話されてました。
標準は作るべきではない、というのもこうして成功例があると伝わりやすい。これを聞いて、全社標準があった場合となかった場合を実感できるワークショップとか考えたら面白そう、と思いました。
頭の隅で考えておこう。

チームの運営に関するお話の中では、アナログの重要性について話されていました。
アナログのボードの前に集まってみんなで集まって、というところに価値があるということで、確かに朝会やタスクボードで状況が透明化されると、問題意識が共通のものになる気がする。
最近はリモートで作業する人も増えているのでどうしてもデジタルに走りがちだけど、それが原因でうまくいかないというケースもあったなぁ。
ふりかえりについてもKPTが紹介されていて、「KPTのKを蓄えていくことが、アジャイルの本に載っていない部分」というのが、個人的にとても刺さりました。
標準化の話と合わせて考えてみても、チームの積み重ねたものはあくまでもそのチームのものであるから、他での再現を狙うのは違う、というふうに考えられます。
エコシステム!超個体!

後半で、力強く「ソフトウェア開発は生産ではなく、開発!」というグッとくる言葉をいただきました。
これは、人によって刺さり方が違いそう、と思ったけども。(私はいい感じに刺さってます。)

野中教授の論文の話も少しあって、「イノベーションはドキュメントの受け渡しでは生まれない。」「リレーからラグビーへ。」というのは特にウォーターフォール主流の人に対して良い表現だなぁと感じました。

感想

アジャイル知らない人に対するアジャイルメッセージという感じで、非常に勉強になりました。

私が人にアジャイルを説明する時って「アジャイルは状態であって方法論ではない!」という説明から始めることが多くて、これは恐らく「本質から外れたまま矯正がなされていない場合」という前提があるからなのだろう。
これはトライ&エラーの過程があるから通用する話で、これまでの取り組みがあるからこその気づきを促せる。

わからない人からしてみればそんな抽象的なこと言われたってさっぱりなわけで、平鍋さんのような「具体性を持たせつつも本質を決して逃さない」という構成の説明はある意味でかなりグサグサきました。

ぜひ参考にさせてもらって、言語化のバリエーションを増やす!

Humanizing Innovation

野中教授の講演。
なんですが、私の文章力ではまとめきれなかったのでごめんなさい…。
なので感想だけ。
内容は脳ミソに刻んでおきます…。

感想

これまで実は、アジャイルやスクラムのルーツをスタートに考えたことはあまりなくて、ルーツに近いインプットをバラバラに頭に入れては、「そことつながるわけか!」と部分的に腹落ちすることの繰り返しでした。

野中教授のお話は、これまでバラバラだった部品が塊で入ってくるようなイメージ。
共感、守破離、チームの呼吸、ラグビー、トヨタ生産方式、最近本で読んだ二重過程理論の話まで、アジャイルやスクラムの根底にある思想が詰め込まれていました。
しかも、アジャイルやスクラムに関する具体的な話には発展していかないので、地を這うようにルーツを集中的に意識させられました。

最後の平鍋さんとの対談の中で、「戦友」というキーワードも出てきて、あらゆるアジャイルの思想を体現すべきは個人ではなくチームであることを痛感しました。
「究極は”人間の生き方”である」、というような発言もあって、講演内容の納得感にあわせてRSGTのコープ氏の話が走馬灯のように流れ込み、後半は呆然としてしまいました。

平鍋さんが「野中酔い」という表現をしていましたが、まさにそんな感じ。
これを整理して人に話すのは、今の私には難しい…。

以上!
たまにはカッチリとした講演もいいね!

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