プロダクトオーナーと意思決定というテーマが気になっている

※昨年末、社内向けのアジャイルアドベントカレンダーに書いたものをもってきました。
※社内向けだし~と思って楽な気持ちでつらつら書いてたら思いのほか捗ったので!

プロダクトオーナーとかいう得体の知れない役割

スクラムにはプロダクトオーナーというロールがあるらしいです。私も去年くらいにそんな名前のついたトレーニングを受けて、その時は完全に理解していたのですが、最近になってどうにも分からなくなってきました。

スクラムと言えば、やっぱりスクラムマスターですよね。スクラムの教育受けるってなっても、まずスクラムマスタートレーニングという話になることが多いんじゃないでしょうか。 それこそ数年前まではスクラムマスターも得体の知れない感じがしていたのですが、ずっとスクラムだのアジャイルだの言ってるうちに分かるようになってきました。

これはどうしてかというと、まずスクラムを理解しようというその行動自体がスクラムマスターの役割に絡んでくるから、というのは大きいと思います。 スクラム勉強してるうちに組織内で一番詳しくなってきて、そうするとスクラムを教える立場ってことでスクラムマスターもフィットします。 スクラムを知ることが既に、スクラムマスターへの第一歩ってことなんでしょうね。

もうひとつ、スクラムマスターが向き合う事が多い、人や組織の課題というのが、一般的な組織課題とイコールになることが多いからじゃないかと思っています。 スクラムを導入しようという組織は課題を解決したくてその選択をしていることは多いだろうし、スクラムマスター単体で組織と向き合っていくこともあります。 組織の課題解決という目的を達成しようとしたときに、まあ細かい背景はそりゃあ違うでしょうけど、チームビルディングや自己組織化というような大枠の概念で言えばどの組織にも当てはまるかと。 なのでスクラムマスターの役割や具体的なアクションは、実は身近なモノだったりするんじゃないでしょうか。

ではプロダクトオーナーはどうですか。スクラムマスターに比べて、あまり深く語られることがない印象があります。 単純な人口の話もあるかも。でも多分それだけじゃなくて、意思決定という一見シンプルな役割がそのままシンプルに実行された結果、深みが出にくい状況になってたりするんじゃないかと思います。

プロダクトオーナーの注目度が上がってくるかもという話

上記の話、本当に最近までに気もしていなかった話です。 それなりの権限を持っていてプロダクトに熱量ある人が着けば、プロダクトオーナーの役割としては全うできるだろうと思っていました。 実際、私もスクラムを推進していく中では、「決断してほしい」と「プロダクトのことを真に考えてほしい」というウェットな表現しかできていなかったように思います。

キッカケは、スクラムフェス札幌の基調講演です。スピーカーはスクラムトレーナーのエバッキーこと江端さんでした。 エバッキーのトレーニングを受けた方は分かると思いますが、基調講演もあの独特な雰囲気で進んでいきました。資料なしのフリートークで、こちらのメンタルをザクザク抉ってくるかんじですね。楽しい。

その中で、「プロダクトオーナーどうやって選んでます?」という話がありました。「プロダクトオーナーに必要なスキルをどのように鍛えてる?」という話も。 エバッキー曰く、日本で優秀なプロダクトオーナーというのをほとんど見たことないそうです。(確かそんなようなニュアンスだった)

どういうことかというと、スクラムを導入しただけではビジネス的に優位だとは言えないよってことでした。 やり方を変えているから、従来と比べれば多少は改善されるのかもしれないけど、それってみんながスクラム始めたらどうなの?ってことです。

もしそういう状態になったとき、同じ方法論を使ってるんだから何かビジネス的に優位性を保てるものが必要だとすると、それがプロダクトオーナーの意思決定だったりするんじゃないか、と。 つまり、プロダクトオーナーって超重要なんです。決定権限や情熱だけでは優位性は生まれないし、ビジネス的な意思決定スキルが無い人がやれと言われて担っているような状態って、スクラムやってる意味ある?くらいのことを言ってました。(これでもそんなに誇張されてないはず)

じゃあ意思決定のスキルってなんなの?って話で、正直これは答えが分かってないんですけど、少なくとも「経験豊富」みたいな事は根拠にならなそうです。 過去上手くいったものが今回うまくいく根拠がない、っていうのは私も思っていて、百戦錬磨の営業マンが偉くなって、過去の成功体験をもとにバシバシ方針切っていったりするのは、意思決定としては微妙ってことです。
過去のことは過去の分析には使えるけど、未来予測にはつかえない、けど結構これやってしまいますよね。 未来予測のスキルって何だろうっていうのが、直近の課題かもしれないですね。

責任という言葉の話

スクラムガイド(改訂されましたね)でも書かれてますが、プロダクトオーナーはプロダクトバックログの管理に責任を持つんですよね。 責任ってよく言われますけど、「責任取って辞任しろ!」みたいなニュアンスをイメージすることが多いかなって思います。

実は責任って、英語だといくつか表現があります。accountabilityとresponsibilityです。 スクラムガイド英語版では、プロダクトオーナーの説明にaccountabilityが使われています。 超ざっくりいうと、成果責任とかアウトカムの責任とか言ったらいいんですかね。それを果たすために意思決定をしていくんです。

プロダクトオーナーは、ビジネス的な意思決定をプロダクトバックログという形に反映させて、ビジネス的な成果を出す責任があるわけで、この責任の意味を意識するとどれだけ重要で難しい役割かが感じれらます。 今やってる意思決定、どんな根拠をもって考えられた結果、達成に繋がると判断しているのか、これが説明できないと確かに「大丈夫?」ってなりそうです。

最近、Managemant3.0を学び始めて、その中でもこの2種類の責任は出てきました。 それもあって、スクフェス札幌の基調講演もあって、スクラムガイド改訂もあって、この責任の考え方はすごく注目しています。 この話を始めるとこの記事の投稿が年明けとかになっちゃうので割愛しますが、開発チームもプロダクトオーナーも問われている責任がどういう意味なのかは意識していった方が良さそうです。

所感

これまで、スクラムやスクラムマスターと言えば、「自己組織化」という馬鹿デカいテーマを考えている時間がほとんどだったんじゃないかと思います。

私もずっと組織をどうしたら~とか開発チームをどうしたら~っていうのがスクラムマスターのメインタスクだと思ってやってましたが、少し進んでみたら勝るとも劣らないドデカテーマが構えていました。 プロダクトオーナーもスクラムマスターの支援対象だし、スクラムチームが生み出す価値を高めようと思ったら、考えないといけないですね。

これは決して軽視できるものではなくて、スクラムの真の目的を考えると最重要テーマにも思えてきます。ビジネスの成功という、全然ウェットじゃない目的達成のために、次はどんなスキルを習得していくべきか…

個人的な感覚ですが、アジャイルという文脈ではマインドセットが語られることが多いのもあって、少しロジカルな観点が弱くなってしまっているのかなと考えています。 チームの人間関係とか、共感とか、モチベーションばかりじゃだめっぽい。もしかすると、アジャイルとスクラムを同じカテゴリにするのがそもそも違う?なんて思ってきたり。

スクラムが浸透してきて、知名度も上がってきて、実践者や推進者も次のステップに向かう時が来ているのかなと思いました。

今の所感

上記までがアドベントカレンダーの内容でした!
読み返すと何言ってんだみたいなところもあるけど、今年の抱負はこのあたりのテーマから探っていこうかなぁと思ったりしてます。

でも考えるのは来週から!
明日はRSGTだっ!!!

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